異星人と数学

ある数学者に「数学は人工物か、それとも自然に存在するか。」と尋ねた。そのときに、僕が述べた持論は「この宇宙の外に、十分に単純だが複雑な構造を持つ数学というものがあって、そしてその影がこの世界に揺らめいていると思うのです。」のようなものであったと思う。幼い頃からの付き合いとはいえ、えらく大上段(?)に構えたものだ。
そのときに、彼は、「うん。僕は人工物だと思う。」とそう答えた。「だが、数学者として信じねばならないことは、もしもこの宇宙のどこかに高度な文明を持った異星人がいるならば彼らも全く同じ数学を持っていることです。」といわれて、ああ、そうか、と思った。
でも、今はそうでもないかもしれないと思われる。彼らは、驚くほど奇妙な公理系を使っているかもしれない。あるいは彼らは我々よりも非常に賢いがゆえに、あまりにもすべてが自明で、証明を知らないかもしれない。
しかし、どちらにしろ局所的に十分単純だが大域的に非常に複雑なものの存在を知っているのではないだろうか。