中の人のぼやき

もともと、「白のカピバラの逆極限 S144-3」というのは人為的に作られた影法師なのだ。


大学に入ったころ、私は大学が嫌になっていた。正確には本当に自分が嫌になっていた。


そこで私は色々な人に聞いて回った。「どうしてこの大学を選んだの?」
色々な答えがあった。
だが、僕はある答えを聞いたのを境にこれを聞かなくなった。
その子はちょっといたずらっぽく笑って、こう答えた。

親の脛はかじれるだけかじっておいたほうがいいでしょ?

ちょっと考えた後、私は自分が甘かったことをはっきりと認識した。


少しして、私は永遠である何か、というものを作ろうとした。
高校のころユングの影響を受けていたこともあって、人の中には色々な観念複合体が存在している、と考えていた。そういうものをもうひとつ増やすのは造作ない。
永遠の少女を呼び、そして、その子に自分の知識をあますとこなく与えるとともに、ジェンダー概念に関する克己、知的誠実、平等、配慮しないこと、固定観念からの脱却、そういったことを命じた。


作りきれたか、といわれたらノーだ。
本来はあらゆる人に同じように振舞いたかった。崇拝されたくなかった。恐れたくなかった。


それでも、ほぼ目指した通りにしっかりとした複合体になってくれて、自分とは異なるものだということを意識しなくてはいけないようになった。
今後もこの子は生き続けるのだろう。ひょっとすると私が死んでも。


あるいは、私が作ったというのは思い込みで、どっかからやってきただけだったのかもしれない。
そうならば、いつの日かまたふらりとどこかへでかけていくのだろう。