株式会社アイ・エイチ・エムhttp://www.hado.com/が「水からの伝言」という内容で霊感商法を行っています。さらにそれが教育の場にまで広がっているようです。耳が痛いと思いますがこれを信じてしまった方は気をつけてください。近いうちに痛い目にあいますよ。

小学校教育に広がる「水の話」。

http://n-blieve.hp.infoseek.co.jp/mizukessyou.htm左のサイトはTOSSという小学校の教育手法を共有しようというところです。そこでこの話を道徳の授業で用いています。つまり、水に心地よい言葉をかけると「きれいに」結晶化することから「よい言葉」を使おうということを教えようというのです。
私はオカルトが大好きですが、これに対しては残念ながら反発せざるをえないです。

教育と販売促進。

まず、この株式会社は実は霊感商法を行う団体です。百歩譲って、これがただの株式会社であったとしましょう。では、なぜ小学校で特定の株式会社の販売促進をせねばならないのでしょう。

道徳的によい話なのか。

「見目がよい」ということは、即、好ましいのでしょうか。以前、冗談交じりに書きましたが、「きれいに見える」ことと「体によい」ことには関係がありません。それどころか「耳に心地よい言葉」は大抵「体に悪い」です。(例えば、きれいな水の結晶は細胞膜を傷つけるので変温動物の大敵です。冬眠する動物は、いかに結晶を作らないか、作ったとしても汚い結晶にするか、に苦心しています。彼らのためを思い、心を鬼にして罵ってあげてください。)

大抵の疑似科学がそうであるように、現在の自然科学を否定しようとします。

勿論、現在の科学で説明できないことはあります。しかし、この水の結晶化に関しては、どのような条件で結晶ができるか分かっています。そこには「文字を見せたから」など入り込む余地などありません。
結晶の作られる条件は中谷宇吉郎先生が昭和の頭に研究され、世界的に有名になりました。

中谷宇吉郎先生は戦前の日本を代表する科学者です。

私も小学校の頃に中谷先生について書かれた本を読んで感動しました。
毎日毎日どのような条件にすれば結晶が作れるかを考えて、あるときに、防寒具を見ると毛皮にきれいな結晶が出来ています。そこから、ウサギの毛を使うことを思いつくのです。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~kanai/kagakukan/snow/nakayaukitirou.htm
なぜこの戦前日本の偉大な業績を無視するのですか。

騙されていても幸せならばいいか。

これに関しては私は答えられません。あなたが今不幸でその不幸せを疑似科学で曇らせたいのだとしましょう。しかし、水というものに押し付けて一時的な精神の安楽を得たとしても、そのような化けの皮はいつかはがれるのではないでしょうか。
そして、あなたが騙されたらそれで終わりではありません。あなたから吸い取った金でまた次の被害者を探しに蠢きだします。あなたは加害者にもなるのです。

声を上げてください。

確かに、いい話ですよ。おとぎばなしとしてはよくできています。でも、アイ・エイチ・エムの販売している波動水には認可されていないにもかかわらず医療効果を謳っていますので被害者は薬事法違反で訴訟を起こせるでしょう。効能を信じたばかりに手遅れになる人もいるかもしれません。
「なんとなく体によさそう」・「素敵な話だった」・「幸せになれそう」といった理由で、詐欺師達にいい生活をさせて悔しくないですか。彼らにお金を貢ぐことがあなたの人生ですか。そうではないでしょう。あなたも誰かに伝えてください。誰かを救ってください。

もちろん

もちろん、わたしは「いい言葉」を使おうという運動には賛成です。でも、この善意の運動を、私服を肥やすことに使う人がいることは耐えられません。

最後に、リンクを。
山形大学の天羽先生の水商売ウォッチング(色々な水にまつわる怪しげな商法を分かりやすく説明している) http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/misc/comment_misc_06.html
大阪大学の菊池先生のblog(大学の先生がこれに関して議論している) http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?mode=category&aim=A5CBA5BBB2CAB3D82CBFE5A4ABA4E9A4CEC5C1B8C0
学校で「水からの伝言」の授業が行われて抗議された保護者の方のページ
http://blog.goo.ne.jp/odorachan
水の話(これを読めば水周りの商売に騙されないかも)http://www.con-pro.net/readings/water/doc0021.html