かすみあみ

uumin3 さんへのお返事。

カスミ網バスターズ

これらの竹竿は二度と使えないように折ってきた。

とかをみて私刑を加えているところが非常にまずいなと感じるのです。
十年ほど前は若さゆえか異常なほど過激な環境保護論者でしたので、彼の主張には別の方向に思うところがないわけではないのですが。

それで、もしかしたら、これがイダ氏の話と少しは絡まないかなと思ったのです。カスミ網猟は伝統的な猟法ですし。(現在、法で基本的に禁止されているというのが大きく異なりますが。)

これは、イダ氏の大峰山の話と近いでしょうか。僕がこの霞網の件ではバスターズを非難するのは、多少は近いのかと思っているのですが勘違いでしょうか。

1992年 外国人女性2人が登山、僧侶と悶着あり
「大峰山女人禁制」の開放への歴史をひもとけば

僕がこの出来事を知ったのは11/11に鯨肉の喩えを作るためでしたので、基本的にイダ氏の話の判断には関わっていないのですが、この出来事に関してはどうでしょう。僕としては多少僧侶が悪そうだと思うのですが。

他に、

1956年 東京「登山とスキー普及会」 女性登山者が頂上を目指したが、信者や住民千人以上がピケをはり阻止される
「大峰山女人禁制」の開放への歴史をひもとけば

には、安田講堂の時のように、機動隊を投入したほうがよさそうだなあ、と(僕は)思いますが、今回の地元住人側には特に問題のある行動はなかったというのは uumin3 さんとの共通認識だと思います。




http://d.hatena.ne.jp/uumin3/20051127#p3

 一番大きい対立点は、そちらは「イダ氏と性同一性障害者が許されざることをした。特に協定に加わらなかった3人。」で、僕のとしては、「問題のあることをした人はいない。」で、食い違っているのだというのでいいのですよね。

 私としてはイダ氏たちが「許されざることをした」と「住民に代わって(その立ち位置で)」糾弾するのが眼目ではないのですよ。ただ第三者的に言えるのは法的なことだけ、と諦観しているのでもなく、傍で事態を眺めた時の倫理判断を行っているとお考えいただければ…。

住民がどう感じたかというのは、あまり深くは考えておりませんでした。いえ、実は意外と uumin3 さん達のように怒っていたりはしていないのではないかなと思っていたのですよ。たぶん、僕が信者であったとしても、同じように冷静に(?)納得してしまうと思うので。
後半は確かにそうですね。法は多くの人に叩きあげられているだろうから、やはり議論として真っ当だろうと感じて、そこから後ろを省略してしまうところがあります。

少し視点を変えれば、同化主義と多元主義という話になるでしょうか。
恐らく、ここの区別がなされていないと感じるのですが、それは

  • 自由参加である合意を持った集団内部における性差
  • 日本国全体における性差

の二つです。
たとえば、会社での性差別を認めるかという話は上の次元での話になります。これが男女雇用機会均等法の改正でさらになくす方向に動いているのはご承知の通りだと思います。他の例では、性差を人種に置き換えれば、「日本人は謝罪しなければ入店を断るという中国のレストラン」もこちらの次元でしょう。
また、宗教にまでこれを拡大するべきかというのはこの次元の話でしょう。男性イタコを認めろというのは僕もそれは違うのではないかと思いますよ。さらに過激になれば一切の先天的な差別をなくすのでしょうか。天皇家裏千家和泉流宗家などを消して、両親の能力に左右されないようスパルタのように両親から引き離して育てて。わくわくですね。

しかし、今回の事件の場合は下の次元、それどころか世界に対しての要求ですから、「価値観だから尊重せよ」というのがそもそも間違っています。

その立場は「お願い」するか「説得する」

ことで(拡大された)集団(概念の)内部に参加してもらうのはよいにしても、それを超える行為に対して僕が批判的なのは、逆にそこに「人類学者と現地の人」がそっくりそのままひっくり返った同化主義の影がみえるからでしょう。

この視点で見れば大体僕の判断基準が整理されたのではないでしょうか。
「交渉が決裂して、うち3人が抜け駆けしたこと」に何もまずいところはないというのが真でないと、オルグされたら断れなくなりますからね。
また、

「(理不尽とは薄々思っても)意地を通す態度にでてしまう」

ならば制圧もやむない、というのが複数の価値観の共存のためには、力による解決が悪だと知っていても国家が介入しなくてはいけなくなるだろうということです。

以下、いままでの流れ。

uumin3の日記 - 大峰山での愚行
uumin3の日記 - 山岳信仰・修験道儀礼
白のカピバラの逆極限 S144-3 - 女人禁制
uumin3の日記 - 大峰山補遺
白のカピバラの逆極限 S144-3 - たとえ喩え
uumin3の日記 - 山上ヶ岳は一つの宗教施設
白のカピバラの逆極限 S144-3 - 大峰山
uumin3の日記 - 最後に大峰山の件で
白のカピバラの逆極限 S144-3 - 大峰山
uumin3の日記 - 倫理的判断
白のカピバラの逆極限 S144-3 - 全単射
uumin3の日記 - 価値の在りよう
白のカピバラの逆極限 S144-3 - 大峯山
uumin3の日記 - nucさんへ
uumin3の日記 - nucさんへ2