女人禁制

http://d.hatena.ne.jp/uumin3/20051106#p1
http://d.hatena.ne.jp/uumin3/20051106#p2
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 女人禁制を守る修験道の根本道場、奈良県天川村大峰山(山上ケ岳)の開放を求める市民らが2日、心と体の性が一致しない性同一性障害の男女らと3日に大峰山登山を試みる、と発表した。呼び掛け人の1人で立命館大非常勤講師の伊田広行さんは「男女の性の境界があいまいな現代における『女人』とは何かを問題提起し開放に向けた議論を深めるきっかけに」と話している。約30人が参加する。

[共同通信社:2005年11月02日 21時30分]

 女人禁制が1300年間続く修験道の聖地、奈良県天川村大峰山への登山を目指すと公表していた性同一性障害を持つ人ら35人のグループが3日、現地を訪れた。女性の立ち入りを禁じる結界門(けっかいもん)の手前で地元住民約100人と議論した結果、改めて話し合いの場を設けることで合意して解散したが、その後にメンバーの女性ら3人が登山を強行した。

 住民側が結界門前で待ち構える中、午前9時50分ごろにグループが到着。地元・洞川(どろがわ)地区の桝谷源逸(げんいち)区長(59)は「先人から受け継いだ伝統や生活がある。地元の心情を理解してほしい」と登山中止を求めた。グループ側は今後も話し合いを続けてほしいと要望した。しかし、午後0時半ごろ、3人が結界門をくぐって山に入った。その1人は「問題提起をしたかった」と説明した。

(2005年11月04日 asahi.com

まあ、ぶっちゃけ、僕は登った人たちとは、見たことも聞いたことも嗅いだことも味わったことも触ったことも意思疎通したこともないから、その人たちが何を考えているか知ったこっちゃないけれども、さらっと読んで思ったことを書いておきましょう。

さてさて。久しぶりに、こういう実りのない議論をする気になりました。法的な議論もしましょうか。(東大法学部に限らず)法学を学んでいる人たちの助けがいりそうだけど、いま、何人くらい見てるんだろう。5人? 法的な行動とらなかったのだからたぶん違法行為はどこにもないのだと、勝手に解釈している。この山は法的には根本道場のものなのかな。そこの資料も欲しいなあ。ただ、他人の庭を通るのも、合理的な理由が認められる場合(たとえば、自分の家の敷地が公道に面していない場合)、認められるのだったと記憶しているから、山頂に行きたくて、私道を使わざるを得なければ認められるのだと思うのだけれども。そこらへんは法律のほうはどうなっているのでしょうか(顔。


さて、法的な議論と以下の議論はまったく関係がない。
イスラムのモスクはまた別の問題にしておきましょう。少なくとも、同じというのはどのような同値類をとるかの問題なので、「同じだ」といわれれば同じだねえとしか言いようがないし、「違う」といわれれば違うねえと言いようがない。「同じ」によって潰れるところに、別の根拠がないかを考え始めると結局同時に二つの問題を解いていることになる、全部の問題に関して論じ始めるときりがないから。

これはどう見ても、他者理解ができていないのは地元住民と区長だろう。これは両者の要求を比べて見れば分かる。

  • 「私は大峰山に登りたい。」
  • 「全人類のうち女性だと私が感じるものは、(一部国が所有する*1 )大峰山に登って欲しくない。」

片方は個人の要求で、全人類に対する要求をぶつけている。後者が身勝手な要求であるのは明らか。僕も「日本人は伝統的なうんこ座り*2をすべきだ」と思うのですが、一部の若者を含む高々有限個の例外を除き実践してくれませんね。非常に遺憾です。

それで、別に山頂で質問状を渡してもいいのではないかと思います。登っても問題はなくて、意見の違う人がどういう意見を持っているのかを具体的に知ろうと思うことは非常に好ましいことですから。むしろ、直接質問もせずに、勝手に生理を理由に汚いと思っていると騒ぎ立てるほうがよほど間違っている。never assume はこの場でも心がけていることです。また、質問に答えないのも自由だというのは、常識的な了解だと考えておりますが。日本人には対話の義務が存在するんでしたっけ。

後から登った3人は話し合うことを合意したのに守っていないのはいけませんね。ただ、100人でその細い山道*3を封鎖していたならば、契約がそもそも不成立かもしれない。それにこの契約は破棄しても別に何もおきなさそうだしなあ。ここに関しては議論の余地がありそうですね。

質問文はざっと読んだ限り、聞きたいこととして侮辱や非難は感じられず常識的な範囲だと思われる。実はちょっと返答に興味がある。答えられないならばそう答えればいいし、答えたくないと答えたくないならば、答えなければいいのですから。
むしろ、質問文を見ただけで激昂するのはふぁびょっているのか、それとも何らかの知識を仮定すると合理的に怒るのかなあ。その辺は信条通り assume しないでおきます。あ〜、そういえば、ふぁびょっているってまずい語だったっけ。そこら辺は適切に摂動しておいてください。

じゃあ、住民はどうするべきかといえば、「登って欲しくないという感情を伝える」以上のことはするべきではありません。「対話」の要求もよいですが、却下されたら却下されたことを納得すべきです。それに対して、区長を2時間半も相手をしてあげたのは、かなり親切だろうなと思う。


そうそう、これは全然関係なくて、今日聞いたのだけれども正当な理由があれば女子トイレを利用するために男性が入ることは犯罪でないと聞いたのだけれども、本当ですかね。

*1:「公道」の記述から

*2:骨格のゆがみの研究により縄文時代からの伝統と分かっていた記憶がある。間違っていたら別の例を適当にでっち上げるべし。

*3:写真をみた