神経細胞の光による制御
http://d.hatena.ne.jp/ddk50/20090914#c1252972166
http://saito-therapy.org/new_finding/lightsswitchneurons.htm
http://www.nytimes.com/2007/08/14/science/14brai.html?_r=1
光の照射で神経細胞のオンオフが制御できるというのに対して、電波で同じことができないか。
これはまさに生物物理。思いつきで書く。
電波ではできないというのは悪魔の証明でできないが、次の理由から極めて考えにくい。
電波[1]は光子のエネルギーが低い[2]ため、有機物の状態が変わるほどの反応が起きるとは考えにくい。
仮にそうであったとしても、生物は 300 K (摂氏30度)程度[3]であり、これは光の波長に直すと 50 ミクロン程度。
黒体放射[4]のピークが 10 ミクロン程度だから、これより長い電波は熱雑音で遷移してしまう。
一光子で受け取らないならアンテナのような共鳴構造を持つ必要があるけれども、神経細胞上でやるには小さすぎる上に中はぐちゃぐちゃすぎる[5]だろうなあ。
それにそもそも、20 ミクロン以上の遠赤外は大気に吸収されて真っ暗[6]だから生物が電波を受け取っているとは考えにくい。
これは遺伝子をスクリーニング[7]して得たものだから電波の受容体を探しても見つかるとは思えない。
あ、でもロレンチーニ器官[8]のように静電場感知は可能だから、神経細胞の時定数以上ゆっくり動く電波でものすごく強いものは検知できるかもしれない。いや、直流電流を見ているのだから空中では放電する程度に"ものすごく"強くないとだめだな。
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脚注がいりそう。
[1] 電波は光の一種。光を検知するためには、粒子としての性質か波としての性質のどちらかを使う。たとえば CCD は前者で、テレビアンテナは後者。
[2] 光は可視光、や赤外、電波の順に波長が長くなる。そしてそれにつれて、粒子としてのエネルギーが小さくなっていく。
[3] 温度とは、どの程度のエネルギーまでならばそこらへんにあるかという相場のようなもの。
[4] 黒体放射とは、理想的に黒い物体から温度に応じて光がでてくる現象で、太陽や地球、ストーブからの放射でも近似的に黒体放射とみなせる。
[5] たとえば、これは高真空低温のナノチューブラジオ。http://physics.berkeley.edu/research/zettl/projects/nanoradio/2007_Nanoletters_Nanotube_radio.pdf
[6] 大気の窓。
[7] 目的の遺伝子を探索する。
[8] サメの電流を感知する器官。