椅子

TOSSの研修で行なわれたという実践がやばすぎたので反射的に下のようなものを書いてしまった。一部抜き出し。

> それは、1人が座っている椅子を三人が三箇所を指一本で支え、
> その椅子を持ち上げるというものです。その持ち上げる直前、
> 座っている人が『バカヤロー』と叫べば椅子は持ち上がらず、
> 『好きだー』と叫べば、椅子が簡単に持ち上がるというもの。
> なぜかは分かりません。が、ビックリしてしまいました。

これはかなり危ないです。その手の人には実によく知られております。小学生が「好きだー」を神秘的な呪文に変えて遊びでやることもあるようです。指で持ち上げたと思っていても、持ち上げる力をかけているのは腕や肩、足で、指は支えているだけです。どちらも20kg程度のものなら扱えます。しかし、これは理想的な状態で持ち上がるのであって、3人が同じタイミングで力をかける必要があります。また、持ち上がる人が緊張してじっとしていないと力が均等にかからずにあがりません。そのためには全員が本当に持ち上がると思っていなくてはいけません。初めにどちらがどうなるか教えられていませんでしたか? 神秘的な呪文でもできるのですから、バカヤローというような軽い人間は浮くと教えられれば実際そうなっていたと思います。
近いものとして、数人で椅子を支えるとたまに椅子が「こつこつこつ」と床を叩き、その叩くタイミングからメッセージを読むという方法が19世紀末の交霊会で使われていました。いわゆるこっくりさんの一種ですね。こういうことをしていると集団幻視が出ることも知られていて、ユングが自分の出席した交霊会で聖母マリアが現れたことに関して、その原理を説明していたと思います。

こういったものは、新興宗教などの勧誘でも使われます。別にTOSSが新興宗教だとも思いませんし、そうかどうかは分かりませんが、内部に原因を説明できる人がいなくて、不思議な現象として無批判で用いるのは危ないと思いました。

水の結晶に関しては、心霊商法だと確信しておりますので教育に用いるのは個人的には賛成できませんが、椅子に関しては、教師が原理をきちんと説明できるならこういったものへの耐性を与える意味もあると思いますので否定はしません。

実は交霊会の話はあんまり関係なかった気がする。