消滅と顕示原理

7/6の日経新聞にテレポーテーション型量子計算に関する記事があった。
量子テレポーテーションで送った「光子や原子は消滅する」と書いてあって愉快に思った。
正しくは「光子や原子の状態は消滅する」だと思われる。
重要ではあるが、部外者には無害な勘違いである。
文字数を削らなきゃと最後に消したのかもしれない。
指摘されても何が違うのかはおそらく分からないだろう。


遠隔地の一卵性の双子が感覚を共有しているという話があるように双子の光子もエンタングルしているのだ、とあったのはどうしたものか。うまいたとえですね?


もうひとつ気になったのは、一番初めの導入部分でオークションが出てくる。全員の入札価格を公開せずに最大値を求めるような量子アルゴリズムが存在するということだった。
これって、ある種の問題が解けないことを仮定すれば古典的にも事実上実行できるような記憶がある。


オークションといえば、諸事情で理論に興味を持っていたところに
http://theorist.blog6.fc2.com/blog-entry-96.html

横尾真. オークション理論の基礎: ゲーム理論情報科学の先端領域. 東京電機大学出版局, 2006.
http://lang.is.kyushu-u.ac.jp/~yokoo/index-j.html

が紹介されていたために、ついうっかり読んじゃった。


そしていまさらだが勝者の災いクイズを理解した。

あなたは投資家で,ある会社を買収しようと考えている.
その会社の正確な価値 v は分からないが,区間 [0, 100]
の一様分布であることは分かっている.
その会社を買収すると,あなたはその価値を50パーセント増やして転売できる.
買収価格 b を提示すると (提示は一回のみ可能),その会社のオーナは b > v
なら買収に同意する(オーナは真の値を知っている).
価格 b で購入した場合のあなたの利益は 1.5v-b となる.
買収価格 b としていくらを提示すべきか?

なるほど、条件付き確率の演習問題には思えなかったのだが、今は分かる。
つまり、b を提示してアクセプトされた瞬間に会社の価値の期待値が b/2 に転落するから必ず損すると。


コメント欄の顕示原理の使い方が本当に面白いなあ。なんか噛めば噛むほど味が出てくる。


ここに確率が出てくるのは、この概念が相当普遍的であることを。
いや、そうではないか。効用の定式化の仕方か。