乳児死亡率

現在の日本の1000人に4人未満ですが、これを他の時代、他の大型哺乳類と比較してみましょう。

人類の場合、乳児死亡率(1歳の誕生日を迎えられない割合)は
http://www.mofa.go.jp/mofaj/world/ranking/baby_die.html
世界でもっとも乳児死亡率の高い国はシエラレオネの 177/1000 で、20%近いわけです。

もっとも日本でも大正時代ですら15%以上なので(米騒動のあった1918年に188.6の記録あり)
http://www.meiji-hohoemi.com/mamapapa/history/0401index.html
実はこれは、自然科学の発展による「栄養」「医療」などの知識がなければとても普通の数字です。
(シエラレオネは内紛が原因のようです。)

あとは、
http://web.archive.org/web/20030423185708/http://www.env.go.jp/en/w-paper/1995/eae240014000001.gif
これが面白いかもしれません。石器時代には12歳までの生存率が50%と推定されているということですね。

アザラシは生後1年間の生存率が約50%と低い

http://www.k2.dion.ne.jp/~goma-f/tategotoazarasi.html
アザラシの繁殖可能年齢が 5〜6 で人間の1/3程度であることや人間が社会生活を営んでいること、寒いところのほうが高いことを考えると、実は妥当な数字に見えます。

他の動物の乳児死亡率としては
http://www.scwa.bc.ca/Projects/Grizzly_Bear_Diversion.htm
ヘラジカ、ムースが現在20%しか一年間生き延びられないので、それをせめて半分にしようということらしいです。

http://www.scwa.bc.ca/Projects/Grizzly_Bear_Diversion.htm
> This area's calf survival rate was at 20%, or only 20 out of 100 calves born each spring survived the year.
この地域での子鹿の生存率は20%、つまり春に生まれた100頭のうち20頭だけが一年間生き延びます。
> The goal of the project was to increase the moose calf survival rate to 50%.
このプロジェクトの目標は、子ヘラジカの生存率を50%に増やすことです。

> Originally, the flights showed calves still alive in early winter but not in the spring. This suggested that calves survived grizzly predation, but did not survive the winter, either because of severe winter conditions or wolf predation, as bears hibernate in the winter.
クマが冬眠している冬に小鹿が減るので、クマではなくオオカミや冬の厳しさが原因だろうと思われる。

こっちはメスは2〜3歳で繁殖開始だそうです。

Females generally begin to breed at 2, but more usually 3, years of age.

http://en.wikipedia.org/wiki/Moose



僕が感心したのは、この尺度で見れば、現在の最後進国でも日本の大正時代程度だというところです。
(なんとなく飛鳥時代くらいを想像していました。)

そして、野生動物のドキュメンタリーの「大人になれるのはわずか」というのは本当に本当なのですね。


さらに、下のTable 7. が、牛の乳児死亡率と搾乳量と補助栄養量の表です。
http://www.fao.org/Wairdocs/ILRI/x5528E/x5528e05.htm#5.2.1%20fertility
T,ST は種類の違い(STは混血)だそうです。
搾乳しない場合は飼育しているので補助栄養を与えなくても、死亡率は5%程度のようです。

こんなにも変わるのですね。