円上の有理点

円上の有理点がなす加法群は有限生成ではない。

単位円上の有理点に偏角の和という加法をいれる。
これは (1,0) を単位元となす加法群となる。
(有理点の和が有理点に移ることは三角関数の加法定理からいえる。)


上記の加法群が有限生成であったとする。
このとき、この生成元を既約分数にし、その分母を素因数分解すると、その素因数全体は有限。
その素因数に含まれない p = 1 (mod 4) を満たす素数 p を用意する。
このような素数は無限に存在するためこれは用意できる。
p は互いに素な整数 (n,m) により n^2+m^2 という形に表現できる。
このとき ( (n^2-m^2)/(n^2+m^2), 2nm/(n^2+m^2) ) を P とする。
加法定理を用いても、分母の素因数は増えないので P は生成できない。
よって示された。

背景としては、楕円曲線上の有理点は有限生成アーベル群になることがあります。では、二次曲線ならばどうなるだろうというものです。大して難しい証明ではないですが、自作の問題を自分で解いて面白かったので。証明が整数論の自明でない定理をほとんど糊無しに組み合わせて作っているところがお気に入りです。