数学的な道具

http://d.hatena.ne.jp/nuc/20050822/p2
ここに関わる話題。「数学的な道具に過ぎ」ないというのはどういうことかと。
数学は思考そのものであり、また、数学はこの宇宙よりも確固として実在していると考えているからこういう議論だと極端な説を出すのだろうなと自分でも意識してはいる。

さて。難しい問題を考えるときに問われているのは数学を使うか使わないか、ではない。
(a)既存の数学を使うか
(b)等価な理論を作り出すか
(c)定理の証明の手順を毎回踏むか
(d)サルでもシェークスピアが書けることを確認するか
、という選択なのだ。

※参照 http://user.ecc.u-tokyo.ac.jp/~kk56907/wiki.cgi?p=%B7%EE%B5%AD%2F2005%2D5%2D15

あなたが難しい問題を解こうとしているなら、 問われているのはパワフルな言語を使うか使わないか、ではない。
(a)パワフルな言語を使うか
(b)パワフルな言語と等価なインタプリタを書くか
(c)自らがパワフルな言語の人間コンパイラとなるか
、という選択なのだ。

まったくだよ。生C弱いよ。ラムダ欲しいよ。

http://d.hatena.ne.jp/nuc/20050823/p3

長い釘が二本壁に垂直に刺さっている。これを釘A,Bとしよう。この釘に紐のついた絵をかけてみる。紐の始点と終点が絵の上部についている。
普通にかけると、釘A,Bを両方抜いた時点で絵は落下する。だが、A片方だけ抜いたならば絵は斜めになるがひっかかっている。釘Aだけに絵を引っ掛ければ、Aを抜けば落下するがBを抜いても変化はない。
では、Aのみを抜いたら絵が落下し、かつ、Bだけを抜いても落下するようにするようにするには、どのように紐をかければよいだろうか。

で、これなんだけど、
まず絵のところを紐にすると、紐が「閉じた道」であることが分かって、連続的に動かして外れた状態にできるか(定点写像ホモトピー同値か)ということになる。そうするとこの紐の状態は、{Aを右巻き、Aを左巻き、Bを右巻き、Bを左巻き}が並んだものであらわせて、ただし、(Xを右巻き、Xを左巻き)がならぶと消えるということになる。基本群として表現すると、Aの右まわりとBの右まわりで生成される自由群と一対一に対応していることになる(。実際は紐同士が衝突するから少し複雑になるけれどもそれは適当に回避できる)。たとえば、\Large x^4y^2x^{-1}yならば、Aを右回りに4回まいて、その後にBを二回右回りにまいて、Aを左回りにまいて、Bを右回りにまくとなる。
まあ、ようするに二つの元で生成される自由群と同じものができるんだな。ここ自体は試してみればなんとなく納得できる。

それで、釘Aを抜くという動作は x を単位元に移し、 y はそのままな準同型を作用させることと対応し、釘Bも同様。で、この二つの準同型のカーネルに入っている0でない元を求めよという問題になるから、\Large xy^{-1}x^{-1}yが答えのひとつになる。

この問題も楽に拡張できて、3本釘のうち任意の2本が抜けたら落ちる、任意の1本が抜けたら落ちるような絵のかけ方も上の考え方を聞けば容易に作れる、って話横道だぞ。


要するに、これでいいたかったのは、数学と何かの人為的な関係というのは、人間が愚かであるために関係がぱっと見えないことか、あるいは別のものとの関係がみえるからそれを通してしかそっちとの関係が見えないことか、のどちらかの言い訳であって、実は本質的には深くつながっているんだよと。だめ?


> 最近(おちゃらけでなしに)答えられるquizが少ない。勉強しなければ。。。
とrukeがいっているけれども
http://ruke.blog5.fc2.com/blog-entry-157.html
こっち何言っているかさっぱりなほうが物理学科的には問題ですよ。

あと、wdさんのここ http://taurus.ics.nara-wu.ac.jp/staff/kamo/shohyo/logic-a.html だけども、「解析学で普通に出てくる多くの実数が計算可能実数である」ということは計算可能でないよく知られた実数があるということですよね? う〜ん。ゼータとかも近似計算はできるし、近似計算ができないものなんて解析学にあったかなあ。あ〜、そういえば、チャイティンの本を去年あたり読んだ気が。内容全然覚えてないぞ。今度読んだときにもう一回感動できて、お得!