フロイトはマルクスよりも、人類に害をなしたと云う本をちらりと覘く

まず、ある人物の歴史的価値を評価するに当たって、その当時の時代背景を知らずに現代の目から価値や善悪を論じていてもまったく無意味だ。あたりまえだが、現代日本で「神は死んだ」などと告げても、神を持たない宗教を信じている日本教徒には、意味がない。でだ、フロイト精神分析の現れた歴史背景に、ニュートンを開祖とする科学の勃興とキリスト教権威の衰退と神秘主義の跋扈とがあるそうな。学問として、人の心は運動方程式で記述できる、という思想が主流になりつつなる中、それに異を唱えたものとしての歴史的な価値が十分にあると思われる。ガリレオコペルニクスなどとは、比べ物にならんほどえらい(彼らの理論はその当時天動説よりも精度が悪かったといわれている。)。
フロイトの理論がどれくらいまで真かというのは、また別問題である。結局さ、権威の盲信がいかんと思う。

マルクス主義でも、近いことがいえる気がする。
小学校の頃、僕は読んでいた本(といっても、子供向きの経済の本なのだが。)の影響か、多少マルクス主義的なところがあった。
先生の「ソ連は何故崩壊したのでしょうか。」という質問に対して、同級生が手を上げ、「共産主義は、たくさん働いても同じ給料しか出ないため皆サボった。」という、この百点満点な解答をしたことに対して、本当にそう思っているのか、小一時間問い詰めたい(という表現が流行しているんでしたっけ。)と思ったことがある。
これが、共産主義国で行われていた「生産力の増加とともに社会制度は変化します。原始共同社会→奴隷制社会→封建社会→資本主義社会。では、この後に来るのは?」生徒の「共産主義社会!」という声によくできましたとほめる先生。と本質的に何も異ならないことから厭味を感じたのもあるだろうけど、資本主義は搾取だという考えの刷り込みがまったくなかったかといわれると否定できない。
中学上がる頃には抜けてたんですけどね。

小澤先生の授業で、「マルクス主義には進歩史観が含まれていて、僕はそれは違うんじゃないかと思うんですよ。」といわれるまでは、進歩史観に毒されていることに微塵も気がつきませんでした。進歩史観の善悪はともかくとして、その考え方を無意識にしていることに気がつかなかったのは、考えさせられた。

まぁ、資本主義が搾取かといわれると どうか知らんけど、日本は、世界でももっともマルクス主義的な、というよりも、そもそも資本主義でもないんじゃないだろうか。学士会の会報に誰かが「鵺経済」だというようなことを書いていた気がする。進歩史観的だっていわれそうだけど、封建社会が終身雇用制に変わり、それに、社会主義と資本主義とが混ざった、みたいな感じじゃないかな。
なので、日本の目からは、正確に批判できるとは思えないかも。

http://www.thought.ne.jp/html/text/socio/01hm1.html
Mに教えてもらったが実に面白い。何度か抱腹絶倒した。

とりあえず、誤解をしていたようだ。
「当時のロシアでは、食料が自給できてなかったから、革命後に飢餓が来たと思っていたが、むしろ、東欧から西欧に食料を輸出してたらしい。革命は都市の革命で、農村は、ツァーリがいなくなったから税を払う義務は無いと思って、溜め込んだ。だからその後に、農民に対しての締め付けと、都市の住民を移住させようとしたと。」表面的にはこうなるのか。歴史は難しい。

おっと、ずれにずれた。
どちらにしろマルクス主義は、社会構造にひとつの問題提起をしたのだからその価値はあるのかなと。