山本七平

日本人の方が遥かに有能だが、米国の方が物量で勝(まさ)っていたので、敗戦した、という議論が戦後もよく出てきたそうだ。しかし、それは違うと。たとえば、砲弾を撃った後、目視で方向を修正する。だが、一般的に観測所と砲撃手の場所は違うので、修正には、複雑な計算がいる。しかし、米国は引き算もできない人々でも時間をかければ撃てるようなシステムを開発した。日本が名人芸に頼っていたために、戦力の低下が著しかったとあった。

racism が日本にないと主張している。ないかどうかは知らんが、少なくとも、 racism という概念を日本人と云われるものは持っていないことは確かだと思う。例に引いてあったのが、日本は鬼畜米英と呼んだが、米国は生物学まで持ち出して、科学的に日本人を消そうとした(そのために、たとえば、日系人は、米国の砂漠に強制収用されましたね。独伊系人はそのようなことはありませんでした。)。
また、日本人は牧畜しないから、屠殺(IMEで出てこない?ありえない。まさかこの単語知られていない?)という考え方を持たない。アウシュビッツがあれほどまでに合理的に作られていたのは、敵を殺すためではなく、処分するための施設だからで、だから、人の油で作った石鹸までもが売られるのだと。また、核を落としたのも屠殺の延長だと山本さんは考えているようです。僕が山本七平フリークであることをわりびいても、結構賛成かな。

でも、 racism 概念を持とうと思ったら、現地人と同等に現地語が話せて、かつ、異人種である状況に置かれる必要があるとおもう。これは、難しい。
そういえば、タコを昼食に持ってきていたら、 he's got squid. と囃された経験がありますね。そういえば。米国は自由の国と思われているかもしれないけれども、排他は非常に(進化論的に)合理的な感情だと思われるので、どこにでもあるのでしょう。今はどうか知りませんけど。
考えてみれば、米国の奴隷解放から140年、婦人参政権から80年、公式な人種差別の完全撤廃は40年前だから、大した変化があるわけではないのだよね。
歴史を学ぶことは重要だ。自分の立っている地面が創世時からあったかのような錯覚をなくしてくれる。
あ〜、しかしだ。祖父母の世代はいざ知らず、父母の世代より下の親族では、女性の学歴は、男性のそれに優るとも劣らないから、学歴に関しては、男女差がほとんどないと思っていたが、東大(が世間で思われているようにまともだとすると、そ)の女性率が1/4であ(り、日本人の女性率が1/2であ)ることと矛盾するではないか。よって仮定は棄却された。ということに唐突に気がついた。

日本人の多くは、自分を無宗教だと思っているらしいが、それは間違っている。その人は日本教徒である。