散歩中の妄想

コンピュータウイルスは何故流行性感冒に喩えられていてバクテリアでないのだろうと考える。それ自体では転写能力を持たず、なんらかの環境の上で増殖するから?ならば、自己増殖能力を持つ機械があれば、という妄想に走る。

「彼の母親はナノテクの有名な研究者だったの。彼は母親の仕事の道具をちょっと拝借してその自己増殖性微細機械を作ったわ。これは後で分かったのだけれども、出来た機械を彼は3ヶ月ほどガラス瓶に入れて保管していたらしいの。ただ、彼は、自分の機械がどう動くか見たいという誘惑に耐えられなくなって、その機械を近くの立体駐車場に放したの。」「放すってどういうことですか?」と僕は聞いた。「あまり強度に影響のなさそうな箇所の塗装をこすって剥がして、そこに自分の機械を置いたのよ。そうすると機械は駐車場の鉄を材料に自己増殖を開始したの。三日後に、鉄骨が歪んでいるのを発見した住民が通報して、その日のうちには整備工が来たけれどももう遅かったの。停めてあった自動車を移動させることはできたわ。でも原因不明で手間取るうちに、次の日の早朝、駐車場はゆっくりと崩れ落ちたの。この時にその衝撃で大量のバクテリアが風に飛ばされて、」