フィードバック

人工衛星を用いた宇宙X線・ガンマ線の観測的研究と衛星搭載検出器の開発を行っている牧島教授が、「先端技術」とともに「職人の技」によって人工衛星が支えられている、というなことを言っていた。*1つまり、金属を磨いて平面を作るといったことにおいては、機械ではなく、職人手のほうが遥かに正確なものを作れるということだ。

もちろん、そのことは私もそうであると思うが、すくなくともそれは肯定的に捕らえるべきことだとは思えなかった。つまり、原子単位の操作は STM でできる。にもかかわらず機械のほうが精度が落ちるのは「見えていないこと」によるからだ。つまり、人は手で触れて、その感触をフィードバックすることでより正確なものを作る、という作業をするが、単純に機械で磨いたのではフィードバックがかかっていないから不正確になる。
確かに、職人の技は、熟練した職人がいればお手軽にサブミリの精度を作れる。しかし、もう二桁精度をあげてくれ、といわれればお手上げだろう。そういう意味で将来的には補助になる技術だと考えている。牧島先生は、恥じるべきことを、目先にとらわれて肯定した、のではないかと。

もう一つ、熱雑音を除くというという意味で極低温にも目を向けたい。

物理に限らず、あらゆる実験レベルの底上げという意味で、マイクロオーダーの工学と極低温での実験技術の進歩が極めて重要だと考えている。

*1:申していたが正しいのかな。