CHSH不等式(1)

なんというか、とりあえず、古典的な場合の解答編になるわけだ。
Alice が、作戦 X と Y をある確率で混ぜ合わせる作戦 Z をとったとしよう。作戦 Z の勝利確率は X の勝利確率と Yの勝利確率のあいだになる。だから、こういう作戦 Z のようなものはありえない。
だから、結局、最善の作戦は Alice の書く数字は a だけに、Bob の書く数字は b だけによって決まっているんだ。

ここで、審判は (0,0)、(0,1)、(1,0)、(1,1) の 4 通りを 25% ずつの確率でどれかを送る。上のような作戦のとき、送られ方ごとに勝ち負けはもう決まっているから、勝利する確率は 25% の整数倍になるに決まっている。つまり 0%, 25%, 50%, 75%, 100% のどれかだ。100% にできないのはちょっと考えれば分かって(a == 0 のとき、α が 0 でも 1 でも、b が 0 のときも 1 のときも βが 「αと逆」にしなくてはいけなくて、そうすると a == 1 のときに困る。)
ようするに 75% 以下。実際、α = 1、β = 0 (ようするに、Alice は必ず 0 を Bob は必ず 1 を返す戦略をとると、たしかに 75% になりうることが分かる。)

訳分からんと思った人は、ちょっとトリッキーな方法で書いてしまったからで、考えれば分かるでしょう。
ここではたいしたこといっていない。
ようするに、このゲームは古典的な場合、Alice と Bob は 75% でしか勝てない。それは Alice と Bob がどんなにたくさんのことを伝え合ってもだ。


ええ、古典的な場合は。量子論を使うとこれを 85% ちょっとまであげられるのです。しかし、それにはスピンという概念が必要だ。(続く)
http://d.hatena.ne.jp/nuc/20060710/p11
((0) http://d.hatena.ne.jp/nuc/20060710/p3)