窓からは明るい日差しが差し込んでいる。石造りの階段を下りると広場に出る。正面は森で右手に小高い丘がある。丘の上には、膝よりも少し高いといっても腰までは及ばない高さに白い花が咲き乱れている。出てきた建物は城のようなちょっと凝った建物だ。しかし、防衛のために作られたのではないのは見れば分かる。生活のために機能的で、それでいて美しいと感じる。うららかな雰囲気の中、突然、母が娘を呼ぶ狂ったような声が聞こえる。私はその子を知らないが、きっと8つくらいだろう。丘の上で死の香りがする。といえばいいのだろうか、しかし刺激されているのは嗅覚ではない。その気を感じた。はっ、として、丘に向かって駆け上がる。一足早く30羽ほどの烏が舞い降りるのが見える。うら若いがそれでいて力は一通り身についているであろう魔女が右手をかざして烏を制そうとしている。「一歩でも近づいてみなさい、生きて返さないわ。」そのようなことを言ったと思う。烏も慣れたもので馬鹿に仕切った様子で、ほれ、早いこと回収しないと生きかえせないぞ、という。大根の代わりにマグロを下ろしたらこのようだろうと思うような肉片が散らばっているようだが、花のせいでよく見えない。。一羽が啄ばんだのを見ると私はかろうじて間に合い、左手をぐっと伸ばして、ええ、3m近く伸びたと思うが、烏の首根っこを掴んだ。吐かせようときつく締め上げるが吐かせられない。咽喉が咀嚼しようとしているのを感じる。下手をすると折れてしまうな。それもいいかもしれない。

示唆的だ。