グレーゾーン

慈恵医大の某と話したこと。
肺癌の転移を調べる。転移先は血流量にほぼ比例すると考えられるが、実際に割ってみると骨髄が突出して多く出たと。で、先生たちは喜んでるけど、理学から見ると流体の問題で自明だったりしないということだった。
流体として扱うには血漿が半分ちょっとで少ないかというのと、管中の固液二相流のシミュレーションでどこで磨耗するみたいな議論よりも単純に毛細血管ごとの速度圧力と転移した後で成長しやすい場所の差があると思うと伝えた。
言わなかったけれども、血流量で割っているのは何か意味があるのかと。つまり、医学としては血流量で割る意味があまり感じられない。血流量あたりでは骨髄が多いらしいが、骨髄はそもそも少ないらしいから「骨髄転移のみを重点的に防ぐ方法」を見つけるよりも、もっと多く起きるところの予防法を見つけたほうがよい。とすると、違いが出たならばどのような条件で転移がおきやすいかとどうすれば減らせるかということか。あ、いやそれは重要だけれども、それが体全体で適用できるとは考えにくいなあ。
だいたいね。なんで血流量に対して線型だと勝手に思っているのかがようわからへん。そんなに線型じゃないって。

しかし、症例800だそうだ。それなんて統計誤差に埋もれそうだ。死んだ患者の解剖結果しか使えないし、病院同士はデータのやりとりがプライバシー的に難しいから、このデータ数は驚くほど頑張っているらしいのだけれども。
やはり、グレーゾーンの取り方が理学と医学では大分違う気がする。